死の夏、詩の春

誠実だったり不誠実だったりをしながら生きてきたけど、今残っているものは誠実に関わってきたものしかない。本当は最初から答えが出ていたのかもしれない、でも実際に試さないとやっぱりわからないし身に沁みないし、魂が納得しないと何一つ意味ってないよね。

今持っているものを数えながら、過去に何かをくれた誰かが居たのだということを思い出すことになる。絶対に幸せにしてやると言ってくれたあの子は元気だろうか。誰にも伝わるはずのない肥大した自意識の輪郭をなぞってくれた時に、運命も奇跡もあると理解した。その標は今もおれの人生を支えている。

祈りなんてしゃらくさい。でも祈るしかないことだって世界にはある。どっちかじゃない、どっちもだ。祈りの白い光を抱えながら、身体はただベストを尽くすだけ。まだ使い切れていない魂があるはず。おれが何かを失う時、それは死んだ時だけ。おれはまだ何も諦めていない。

心っていくつもある。何に溺れそうになっても、大切なものを見失いたくない。