夏の予感

雨に匂いがあることを、雨の匂いという言葉を知って気付いたり、夏の匂いだって同じようなもの。五感がうたっているこの感覚は、夏の匂いというのか。街並みに溶けてゆく夕暮れだったり、果てしない光みたいな思い出を想った時の胸の痛みだったり、誰かと手を繋いだ時の運命だったり。もっと人生に確信がほしい。それは不安のない未来ということではなくて、過去と未来の真ん中にいま立っているという実感。そしておれはおれであるという確信。確信を持って生きている人はみんな光を持っている。おれはそういう人を何人か知っている。嫉妬したりもする。でも知っているということ。夕闇に立つおれにしか出来ないこともきっとある、それこそがおれの光。ついてきてくれていいよ、そういう人におれは優しいし、まだ知らん海の浜辺ではしゃごう。乾杯しよう!