虫っけら

はじめての気付き、わたしは自分に都合のいいことばかりの夢を見るとひどく落ち込む。自分の浅ましさや醜さ、愚かさ、身勝手さが身に染みる。それが夢という、深層心理のような、自身で管理できないところに滲み出てしまうとお手上げだ。わたしは、わたしという人間は、どんなに取り繕おうと、こんなことを望んでいるのだと突き付けられる。それはわたしの思考の肯定であり、わたしの歩みの否定である。わたしがわたしの意思で抑えたり諦めたりしてきたものを肯定しないでほしい。わたしがわたしから絞り出した正しさを無意識が否定しないでほしい。わたしが毟った他人の美しさ、わたしが奪ったら壊してきた他人の誠実さ、そういうものは肯定されるべきではない。わたしの意思の尊厳をわたしの無意識が奪い取るのはたいへん遺憾である。許されたい、許されたいけど許されてはいけないこともある。憎い、つまらん、どうにも虫っけらだ。