ドルフィン・ジャンプ

夏の風がすきだ、7年前と変わらない換気扇の音、冷蔵庫のうなり声。風鈴の音色に耳馴染みがないのは短冊が切れてしまったからだ。そんなことにも気が付かないくらい流れた日々、千々に、散り散りに。およぐようにいきる人が好きなのは変わらない、わたしは川底から空を見る。青い光が眩しい、水面近くで踊る人影に自由を見る。同じ川をゆくのに、対岸よりもとおく感じる。夏の風がすきだ、駆け抜けてゆく。わたしの一部はあの夏に置いていかれたままだ。