つめたいひかり

同い年の凄まじい才能を持つ方が亡くなってしまった。才能なんて関係ないよ、才能なんて関係なく悲しい出来事なのに才能があって努力をして才能を磨かれてきた方だから沢山の人にその死を悼まれている。同い年の方が亡くなってしまった。未曾有の情勢下のひとつの秋に同い年の方が亡くなってしまった。ひとりの素敵な方が亡くなってしまった。とても冷たい、とても悲しい、とても冷たい、とても悲しい。死を選ぶとき、自ら生を終えようと決めるときどんな心持ちになるのだろう。死にたくなる日はおれにもある。でも未だ選んだことはない。強い弱いの問題ではないだろうけど、おれは実際に死へ向かうほど強い気持ちを持ったことはない。同い年の方が亡くなってしまった。とても才能のある方が亡くなってしまった。でも才能なんて関係ないんだ。どんな気持ちなんだろう。自分の気持ちがわからない。「才能のある方だったのに….」というようなことを言う人の気持ちがわからない。才能があったら人生は素晴らしいのだろうか。死を選ぶことなんてあり得ないのだろうか。こんな気持ちも忘れていくんだろう。いつかの気持ちと同じようにいつでも忘れていく。悲しい。