嫌な夜、明くる朝の死神

人生で初めて、自分の若さみたいなものについて強く考えている。いまわたしは声優という職業を目指していて、毎日考えたり努力したりしている。この業界は基本的にとても年若いので、役者というものに年齢は関係ないと言いながらも、やはり自分に残されたタイムリミットみたいなものを否応なしに意識してしまう。もうすぐ30歳になる。まだずっともがいてる。自分の目指すもの、歩むべき道、やるべきこと。ずっとずっと考えている。そしてどんどん良くなっている、けれども、それは自分の中の話で、社会や外聞といったものから自分はどう見られ、扱われるのかはまた別の話だ。もうすぐ、30歳になる。それともうひとつ、時間があるからか、ちかごろ自分の醜さのようなものがやけに目につく。どれだけ誤魔化してきたのかがわかる。みんな幸せになってほしいなんて綺麗事をずっと言っていた、そんな自分をずっと信じていたけど、あれは嘘だ。みんなぼくのことで傷付いたり、一生忘れないでいて欲しかったりする。居なくなってしまった人には、不幸になってしまえと思うこともある。嫌なニュースばかりだ。嫌なニュースと、嫌な人と嫌な言葉ばかりだ。誰かが誰かのことを傷付け続けている。それはきっとみんな心が貧しく、余裕がないからなのだろう。そして今たぶん、おれも心が貧しい。また朝がくる。眠れない夜にはもう飽き飽きだ。一睡もしないまま、また今日が始まるのだろう。最悪、本当にさいあく。