うたのけはい

季節は前触れもなく変わる、人の心はどうなのだろう。すっかり寒くなり秋の気配、台風が連れてきたのだろうか。伝えられない気持ちや伝えてはいけない気持ち、置いてきた気持ちはぜんぶ歌にできる。私には歌がある、芝居がある、声と身体がある。なんて素晴らしい身体!最近よく自分の作った曲を聴いている。拙くていやだったけれど、いま思うと自分の言葉と声で綴ろうとしていて偉いと思った。あの痛くて痛くて苦しかった時間を、少しでも何かにしようとしていて偉い、なんて他人事のように思う。君が笑って生きる意味が汚れた、なんて詞、もう書けない!でも歌になっているし、こめかみに撃ち込まれた銃弾は今でも心の火と鉛だ。音楽になるという感覚、うたが身体の一部になっていき、揺れて白く発光するのをおれは知っている。うたにはけはいがある。青葉市子さんがそういうタイトルを曲にしていて、うわーって思った。おれに足りないのは脳、アイノウ。