夏のネオン

おぞましい夢を見た。日常は変わりなく過ぎているのに、全てが根本から破壊されるような夢。あまりのリアリティに、そういうものかと受け入れて暮らしていた。地獄だ。世界の終わりが美しい世代だけど、ああいう終わり方は最悪だった。目が覚めた時に夢だとわかったけれど、いつだって本当にああなってしまう可能性があるから安心できなかった。外に出ると夏の匂いが鼻孔を膨らませる、暖かな日差しとこれからの季節を想うとやっと少し安心した。夏になりたいと思うが、夏になってしまったら夏のことはわからなくなってしまいそうだ。身体があるから季節を嗅げるし感じられる。私が私だからあなたの輪郭がわかることなんて当たり前なのに、ひとつになることを望んでしまう、誰かになれたならと思ってしまう。心配な人に出来ることは何だろう。手を伸ばしてくれない人のために出来ることはない。いま出来ることとやるべきことは見えている。生きるということ。私にとっての、生きるということをする。