蒼く光るもの

もう逃げられない、そう思った。わかってしまった。頭がいいから何年も前から本当はわかっていたこと。美しさも尊さも光も運命も願いも祈りも、本当は知っていた。わかりきっていた。ただどうしても信じたくなかっただけだ。この身体の輪郭を捉えること、それは失うことと同義だ。永遠なんてない。本当にない。全部死ぬ。本当に死ぬ。消えて無くなる。大好きな気持ちも大好きな人も大好きな時間も、全部消えて無くなる。祈りだけが残る。祈るとは何か、知っているか。私にとっての祈りはただ一つだった。おれを救うのはいつだって誠実さだった、それは行為の話ではなく、その人がその人であるということ、あろうとすることだ。ずっと嫌だったけど、そっち側へ行きます。さよなら愚かさ。さよならぬるい風。蒼く光るその海に沈む。生きるということ、藍を追うということ。なんで誰も知らないのさ、なんでぼくだけが知っているのさ。もう逃げられない。ぼくだけの光。