小雨が燦々と降る夜はエモい

思うままに綴る詩のような日記

澱みを負う

人間が持っているもの、目、鼻、口。耳に皮膚。感覚器。光は目で見るし匂いは鼻で感じるし味は口で味わうし、耳であなたの声を聞いて肌で体温をおぼえる。それだけだろうか。おれは魂の匂いを知っている。緑色の夜を知っているし、黒く震える声を知っている。かつて不幸になりたかった。幸せになってはいけないと思っていた。もっと言うと、幸せになるためには、まず一生分の不幸を背負わないといけないと思っていた。だから一緒に不幸になってくれる人をずっと探していた。厨二病の代名詞のような話だけれど、本当に本当に、そうとしか言えないくらい、そういう人を探し求めていた。「誰かを傷つけた分は、誰かを救うしかないよ」その言葉は柔らかかったけれど、決して甘くはなかった。いま、誰かを救えてるだろうか。もう4年も経つのか、あの夜から。「出来るだけ苦しんで死んで欲しい」と言われたことがある。とてもよくわかったし、死んであげられないことが申し訳なかった。だっておれが死んだら死んだで、その人は苦しんだろうから。死に等しい枯渇を長らく味わった。あなたの言う通りの結果になったし、復讐はもう充分遂げられていると思うから、安心して欲しい。あなたが忘れても、おれは一生忘れないだろうし。

誰かのために生きる、ということについて考える。そのためには自分が自分になることが必要だと知った。絶対にもっと優しくなる。復讐ではなく、敵のあなたの呪いの残滓も引き受けるために。おれは優しくなる。どんなに失敗を繰り返しても、その気持ちは剥がれないだろうと思う。