小雨が燦々と降る夜はエモい

わかってもらえなくてもいい 日々の記録

冬に鳴く鵜、冬に堕つ星

誰にも触れられない悲しみがあり、どうしても触れることのできない悲しみがある。深い川で分断されているそれを孤独だという。人との距離と諦めと孤独と悲しみに意味をつけてくれた初めてが音楽だったように思う。

 

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冬の痺れるような寒さが脳の健全な働きを阻害し、街の光は有毒な瞬きをぼくに示す。バビル二世に出てきた催眠ライトみたいだなと思う。孤独が馬鹿になって、そういう時に聴く音楽はいつもより脳細胞に深く浸透する冷たい麻薬のように感じることがある。睡眠不足は鬱の友達だが、宇宙に繋がることがある、アレと同じような感じ。意識した途端に身体が余熱を帯び、脳が正常になって筆の滑りが悪くなる。毎日いろんな人と話す。好きな人、どうでもいい人。誰かと誰かを比べて、自分の居場所を確かめる。誰かと誰かを比べて、あなたの輪郭を知る。そうしたところで、ぼくはあなたの悲しみを知ることができない。あなたの喜びをぼくは観測することしかできない。風邪を引いたならうつされてみたい。同じ病気になったなら、あなたと同じ苦しみを知ることが出来るでしょうか。

 

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毎日疲れて眠ってしまうたんびに手から滑り落ちていく感傷と感情と叙情。瞬間は瞬間ごとに永遠に失われてしまう。さみしいし、さみしさをあきらめていくことすらさみしい。

悪い予感が心臓に毒をひと匙差し入れ、爆発しそうになる。君が笑うだけで、生きる意味が汚れたあの冬。永遠だと思っていた感傷は、世間話になった。それはあの頃の自分がいちばん軽蔑していたもののはずだが、本当の意味で終わったのだということだ。いつのまにか始まってばかりで、ちゃんと終わったことにぼくはいくつ気付けているだろうか。持てるものには限りがある。貪欲さで身を滅ぼすことに幾ばくかの羨望の欠片を持っているぼくにとって、それは貴重なことだ。醜さに身を落としたい。

素晴らしいもの、素晴らしい歌、素晴らしい恋。素晴らしい震えに素晴らしい営み。世界は1999年に終わるとされていたが、今日まで生き延びてきた。でももし、実はもう終わっているとしたら。生まれて初めて歌を歌ったのはいつの日だったか覚えていない。無くしたくないものを片手間に思い出しながら、買ったばかりのモンハンに手をかけます。