箱 箱箱

いとも簡単に死にたくなるが思念をボロ切れのようにして視界の端にかけて置いておけばとりあえず明日まで生き延ばせるから怠惰に生き永らえている。明日の光、記憶の中の星たち。雪に埋もれて泣き続けたような安心安全な破綻はこれからさき一生ないんだと思うとさみしいし、あの悲しみは茶番だったのかと思うと重みなんておれの身体が脆ければ脆いほどのしかかってきて、刺激が欲しけりゃ馬鹿になれと嘯くORANGE RANGEは確かに真理を歌っていたなどと思い至り、この構図がそもそも馬鹿らしくて嘲笑を零してみたりする。心の中で、帰りの電車の中で。茶番も茶番、何かを大事にしたいとか、誰かを大切にしたいとか。大きすぎる気持ちも身体と脳の箱の中でぐるぐるぐるぐる。脳神経と末梢神経は繋がっているけどおれの心と魂と世界は繋がっていない。空気になりたいし時間になりたいし概念になりたい。そう思える音楽があったけど今はもう無いから、人生第2期って感じだしそれが面白くなるかつまんなくなるかはおれ次第だっていうのも全部知ってる。いま持ってるもの・持ってたいものは全部とびっきり大切にしたいけど、大切にするのやり方は全部知らない。いびつさは角が多いから引っかかるし絹を引き裂く。背負いすぎてしまった借金はいつの間に破産してしまったのだろう。あなたと手を繋ぎたい。最後に残るものはそれだけだったとしたら。星になるよりはよっぽど醜いことだ。

願ってばかりの国

絶対に変わらないものを一生追い続ける。そう思っていた10代の頃、そんなものはないのだと幾度となく繰り返す挫折により今は自然に身に染みていく。だったら最低な気分の時にも生活は流れていくし、何に誠実にならなくたってその瞬間の気持ちをぼくだけが大事にする。そうしていくと体内に流れる時間と世界の進度がズレていき、取り返しのつかない破壊を生み出してしまうのだった。何かと比べてしか安心できないぼくは、いちばん綺麗なもののために他の部分を黒塗りするようなところがある。どんなに汚しても絶対に汚れない一箇所に純粋を垣間見て、安心をする。きづきあきらとサトウナンキの短編集の一節がやけにこびりついて剥がれない。本当を知るために本当を汚すあのさよなら。ずっと地に足がつかないのは泳いでいたからで、足が動かないのは底についているからだったのでしょうか。さかなのように生きたいと願ったあの日の夕暮れ、穏やかな時間。願ってばかりでいのちを消費していく。あんなに叫んだ黄昏、なのに今はここにいるということがたまらない。自分だけは絶対に居なくならないから、おとなしく祈りくらいは贈り続けられないものでしょうか。

めにみえない

さいきんたましいがめにみえない。めにみえることといったら金と娯楽と肉体。こういう文を書くのも実のところ恥ずかしい。なぜって。ぼくの脳のまんなかから湧き出る文字たちは目にみえないから。めにみえないってことは無いのとおなじことだから。無いことを話している。滑稽なことではないか?目に見えないのに肉体の芯が爛れていることが実感できる。めにみえないから気にしないのだけれど。日々がながれていく。追いつけない時間と空間。滞りのない滞り。最終的に全部飽きて●●を追ってしまう。はやく死にたいな。はやく死にたいなと緩やかにいたく自然に思う。何かを選ぶことは何かを捨てるということで、何かを捨てることをずっと怖がってきた。気が狂いそうだとすら思わないのは、もう狂ってしまったからだろうか。君の嬉しいニュースにちょっとだけ胸が震えて、震える胸があることを知ったよ。さよなら世界。と、目をつぶっても呼吸の音は消えない。消えないのに忘れていくことだらけで、世界に対して不誠実だとおもった。

ふつうふつうふつう、とうめい

体力と精神力が襤褸滓になっていくのを感じる。残滓で好きな人に会うだけの機械になっていく。魂のHPは常に赤ゲージ。一回のこうげきコマンドで潰せる程度の雑魚敵を蹴散らし続けないとゲームオーバーになってしまうので回復は効率が悪い。モンハンやったりうなされたりしてる。毎日休日と晩御飯のことを考えて暮らしが過ぎていく。生活だけが残る。生活だけが残る。生活だけが。生活だけが。どうしても自分が自分であることが剥がれないことに気付いたから、さいきん特別に興味がない。普通の愛。普通の友情。普通が普通たる理由に興味がある。普通に普通を普通化して、特別な普通になりたい。斬新な悲しみは誰にも届きません。斬新な愛は呪いや憎しみの類と違いなんてほとんどありません。花は普通に美しいし、普通に興味を持ち始めたからその尊さに気付けたよ。唇の形は人それぞれだし、声や素振りも人それぞれ。やっぱり二度と手に入らないあの夜が、摘出できない銃弾のように、ぼくのこめかみにホローポイントしてるのかも知れない。剥がれないあなたの悲しみもマッシュポテトにして、暖かいスープと一緒に食べようね。

冬に鳴く鵜、冬に堕つ星

誰にも触れられない悲しみがあり、どうしても触れることのできない悲しみがある。深い川で分断されているそれを孤独だという。人との距離と諦めと孤独と悲しみに意味をつけてくれた初めてが音楽だったように思う。

 

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冬の痺れるような寒さが脳の健全な働きを阻害し、街の光は有毒な瞬きをぼくに示す。バビル二世に出てきた催眠ライトみたいだなと思う。孤独が馬鹿になって、そういう時に聴く音楽はいつもより脳細胞に深く浸透する冷たい麻薬のように感じることがある。睡眠不足は鬱の友達だが、宇宙に繋がることがある、アレと同じような感じ。意識した途端に身体が余熱を帯び、脳が正常になって筆の滑りが悪くなる。毎日いろんな人と話す。好きな人、どうでもいい人。誰かと誰かを比べて、自分の居場所を確かめる。誰かと誰かを比べて、あなたの輪郭を知る。そうしたところで、ぼくはあなたの悲しみを知ることができない。あなたの喜びをぼくは観測することしかできない。風邪を引いたならうつされてみたい。同じ病気になったなら、あなたと同じ苦しみを知ることが出来るでしょうか。

 

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毎日疲れて眠ってしまうたんびに手から滑り落ちていく感傷と感情と叙情。瞬間は瞬間ごとに永遠に失われてしまう。さみしいし、さみしさをあきらめていくことすらさみしい。

悪い予感が心臓に毒をひと匙差し入れ、爆発しそうになる。君が笑うだけで、生きる意味が汚れたあの冬。永遠だと思っていた感傷は、世間話になった。それはあの頃の自分がいちばん軽蔑していたもののはずだが、本当の意味で終わったのだということだ。いつのまにか始まってばかりで、ちゃんと終わったことにぼくはいくつ気付けているだろうか。持てるものには限りがある。貪欲さで身を滅ぼすことに幾ばくかの羨望の欠片を持っているぼくにとって、それは貴重なことだ。醜さに身を落としたい。

素晴らしいもの、素晴らしい歌、素晴らしい恋。素晴らしい震えに素晴らしい営み。世界は1999年に終わるとされていたが、今日まで生き延びてきた。でももし、実はもう終わっているとしたら。生まれて初めて歌を歌ったのはいつの日だったか覚えていない。無くしたくないものを片手間に思い出しながら、買ったばかりのモンハンに手をかけます。

RAW

保存しておきたい気持ちが炸裂してよりもっとを望む。今日は人肉を食べる映画を観てきた。耽美的なものを想像していたら想像よりよっぽどシンプルだった。何回か吐きそうになったり、気絶しそうになった。人生でいちばん、映画を観てHPを消費した。

HPといえばこないだ何人かで飲んだときに、盛大にゲームの話をした。楽しいね、ゲームの話。ファイナルファンタジー、懐かしいね。おれはゼノギアスがいちばん好きなんだ。あとロックマンDASHロックマンXをこないだ久しぶりにやったらYを押しっぱなしながらBで三角飛びをしてAを押しながらダッシュジャンプするあの手の形を覚えてるな〜って思った。横スクロールのロックマンならではのプレイスタイル。お酒もごはんも美味しかった。飲むのが好きな友達はいいね。

さいきんよく電話する友達が進化し続けてる。よくなっていくといいな。君は素敵だっておれはもう7年も言い続けている。

早めに仕事が終わってさ。いい天気だな〜どっか寄って帰ろうかな〜の気持ちが無いと死ぬと思ったから、早く仕事を辞めたい。みんななんで生きてるんだろ。前、お母さんに、みんなそんなこと考えてないよって言われた。そんなもんか。そんなもんだと思ってたんだけど、東京に来たら沢山いたよ。ちゃんと生きる意味とか考えちゃうタイプの人、沢山いたよ。美しさとか、そういうものを大切にしてる人に会えたよ。嬉しいね。

大事なことを書こうとしたけど、大事なことはブログに書かなくても書いてもいいから、手紙を書こうと思うよ。夏の便箋しかなかったから、季節を切り取るものを買ってこようと思う。

自意識が死んでいくのがわかる。でも変わらず愛とか人間とかそういうものごとについて考えちゃう。奥に残った魂が光り続けることを祈る。

 

クソみたいな気持ちは鍵垢もないし今のインターネットは公共の場なので吐き出さずに胸の真ん中に沈んでいつしか見えなくなる。誰かに勝てないだとか、置いて行かれただとか、嫉妬とか劣等とか。テンポや空気中を通る電気の糸の回線がズレているあの気持ち。好きな人だけを好きなだけでどうして居られないんだろう。もうぼくに言いたいことなんて何一つさえありません。そんなセリフだって知らない死んだお方のパクリ。心臓の下に氷がある。敵も味方もないならおれは相対性感覚の持ち主だから足場がない。人生に泥が混ざっている。